究極的にシンプル、そして特有の風合いをもつミリタリーアウター、それが『タンカースジャケット』だ。街着としてはもちろん、作業着として、またちょっとしたアウトドアシーンでの着用など、幅広いシーンで活躍してくれる。
『タンカースジャケット』とは?
正式名称は「WINTER, COMBAT, JACKET,」。
第二次世界大戦において、アメリカ陸軍(U.S. ARMY)の戦車部隊(※)が冬期に着用していたミリタリーウェア。その当時は、物資が不足していたことから、フライトジャケットとしても使用された。
※英語でタンク(TANK)は戦車のことを指す。
前期型と後期型に分類されるが、簡単に見分ける方法は、フロントポケットの形状。一般的に前期型はパッチポケット仕様となっており、後期型はスラッシュポケット仕様になっている。
デザインに関しては、戦車の内部という狭い環境下でも動けるように設計されており、シンプルなシルエットにまとめられている。しかし、じつは細かいところに注目すべき多数の工夫が施されている。
ちなみに、戦車を意味する英語の「TANK(タンク)」という名称は、かつての英国軍が戦車の製造中に、機密保持のため戦車を「水槽(タンク)」と偽称したことが由来だと言われている。
『タンカースジャケット』特有のディテール
光沢感のある表地とブランケット調の裏地
表地には肉厚で丈夫なコットンの生地が使われているが、生地の質感はN-1デッキジャケットのそれとは異なり、特有の微光沢に包まれている。裏地にはブランケット調の起毛感のある生地が使用されており、保温性も高い。
ニットリブ仕様の襟、袖、裾
ニットリブ仕様の襟は、MA-1やL2-Bなどとも形状が異なる、タンカースジャケット特有のスタンドカラーデザイン。この程よい襟の高さもタンカースジャケット独自の魅力だ。また、袖先や裾もニットリブ仕様となっている。袖先のリブには風合いある段リブが採用されている。
背中のアクションプリーツ
背中には、肩から裾まで伸びるアクションプリーツ施されており、腕を動かしやすいデザインを採用している。
ストームフラップ
フロントは堅牢なジッパー仕様(※)。グローブをはめたままでも使いやすいよう大きめのジッパーが採用されている。また、ジッパーの内側には、ストームフラップが配され、風の侵入を防いでくれる。
※ヒューストンのタンカースジャケットは「IDEAL」製のジッパーを使用。
名作映画「タクシードライバー」に登場
マーティン・スコセッシが監督を務め、名俳優ロバート・デ・ニーロが主演を務めた、1976年公開のアメリカ映画「タクシードライバー」。この映画の劇中で、ロバート・デ・ニーロ演じるベトナム戦争帰りで元海兵隊員と称する青年「トラヴィス・ビックル」がタンカースジャケットを着用している。
トラヴィスが着用している、かなり着込んだ風合いの出ているタンカースジャケットが、なんともカッコ良い。ぜひとも映画をチェックしてほしい。
ちなみに、この「タクシードライバー」という映画は、「M-65フィールドジャケット」が登場する映画としても有名。どちらのジャケットもロバート・デ・ニーロ演じるトラヴィスが着用して登場する。
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ブラピ主演の「フューリー」での着用も話題に
2014年に公開された、第二次世界大戦時代を描いた戦争アクション大作映画「フューリー」の劇中で、ブラッド・ピット演ずる戦車長のドン・“ウォーダディー”・コリアーがタンカースジャケットを着用して登場する。
第二次世界大戦時代の戦車隊が舞台となった物語のため、タンカースジャケットが出てくるのは当たり前かもしれないが、それでもブラッド・ピットがタンカースジャケットを着ている姿はカッコイイ。
ちなみに。『ヒューストン』には、映画「フューリー」モデルのタンカースジャケットが展開されている。ブラッド・ピット演ずるドン・“ウォーダディー”・コリアーが着用していたタンカースジャケットを再現したもので、腕には映画に出てくる階級と師団のパッチが配されている。興味のある人は以下を。